煎じ薬を研究してわかってきたこと
2016年09月11日
さて、この前の続きですが、煎じ薬を手掛けるようになって解ってきたことがあります。このブログでも書きましたが、私は市民病院を定年退職してからこの世界に入ってきましたので、漢方の勉強はほとんど独学でやってきました。よく漢方薬屋の跡取りは全国にある昔からの老舗に弟子入りして腕を磨くらしいのですが、そんなことができる身分ではなかったのです。
独学と言っても所詮は書物の世界ですから、実感が全く分からなかったのです。
でまあ、開店してから最初は錠剤を扱ってその構成成分の生薬なんかを勉強していきました。その後、エキス散剤なんかも取り扱うようになり、薬方の組み合わせなんかも覚えて、お客様の状態の変化を知ることになりました。
まあ、錠剤にしても、エキス散剤にしても、日本でよく出る薬方をメーカーが造っているだけのことで、この薬方は何に効くとか、これに効くとか、あらかじめ経験的にわかっていて厚労省が認めている効果を我々が応用しているわけです。
また我々は書物の上でこの薬方にはどんな生薬から抽出されたエキス分が入っているとしかわからないわけで、実際にその生薬を見たわけではないのです。ということで、現代の漢方薬というのはこんなもんなのか、とも思いながらやってきたのですが、それと並行して、漢方薬の原点である煎じ薬を研究することになりました。
なぜかと言いますと、例えば、中年の人がよく買い求められる薬に補腎薬というのがあります。
中成薬で海〇補〇丸とか至〇三〇丸とかいうもので写真の真ん中にある黒い粒ですが、また日本でも八味地黄丸とか桂枝茯苓丸なんかが丸剤で出ています。私もよく飲みました。で結論から言いますと、買われたお客様から、「あの薬良かったね」と言ってリピートは全くなかった。反対に「効いているのかどうか、わからない」という意見がほとんど。わたしも長年飲んでもよくわからない一人でした。しかし、これは製剤上の違いなのかどうか一度見直してみる余地があります。でこれらの丸薬は取り扱わないことにしました。
この前、お客様からの依頼で、八味地黄丸料を煎じパックで購入していただきました。それから二週間後再びご購入していただきました。その時「あれ飲んでから、お腹温かいし、何か違うみたい」という意見が返ってきました。う~んやはりそうか。
そんなわけで、最初は、葛根湯とか桂枝湯とかいうような簡単な組み合わせから出発し、錠剤、エキス散剤、エキス散剤を熱湯に溶かしたもの、煎じ薬なんかを飲んで自身でその効き目を確かめていきました。
煎じ薬を造る場合にはその構成生薬を実際に確かめて、口に入れて味を確かめ、書物に書かれている生薬の使用量や効能、性質、帰経などと、日本と中国との違いやその他いろいろの点を研究することができるようになってきました。書物も古い物ですが、手に入るものは高額でも買い求めて、研究するようにしています。
これは錠剤、エキス散剤だけを扱っていたころとは格段の違いを感じています。これこそ漢方の醍醐味なのかなあと思っている今日この頃です。次回は日本の気候と体の痛みについての研究。
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Posted by 漢方相談あうん堂薬局 at 23:09│Comments(0)
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